金田時男(かねだ ときお)さんは、映画『アウトレイジ ビヨンド』(2012年)および『アウトレイジ 最終章』(2017年)で、韓国系組織「張グループ」の会長・張大成(チャン・テソン)を演じた人物です。
1937年4月16日生まれ、滋賀県出身。本業は俳優ではなく実業家であり、銀行、パチンコ店、ホテル、ソープランドなど多岐にわたる事業を展開してきました。北野武監督とは旧知の仲で、本人の出演希望により『アウトレイジ ビヨンド』で初めて俳優業に挑戦しました。
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「アウトレイジ ビヨンド」出演
劇中では、戦後の上野の闇市を10代で仕切った伝説の在日韓国人フィクサーとして描かれ、日本と韓国を股にかける影響力を持つ張大成を演じました。その圧倒的な風格と存在感は、観客や評論家から「本物の大物俳優のようだ」と評されるほどで、北野監督も「新人賞をあげたい」と絶賛しています。
また、張大成の側近・李役を演じたのは、Vシネマなどで活躍する俳優の白竜さんです。彼の存在感も作品に深みを与えて、金田時男さんの存在感を高めています。
金田時男さんの出演は、俳優経験がないにもかかわらず、作品に強烈な印象を残しました。彼の実業家としての経験や人脈が、役柄にリアリティと説得力をもたらしたと考えられます。
出演のきっかけ
金田時男さんが映画『アウトレイジ ビヨンド』に出演するきっかけは、本人の強い希望によるものでした。
北野武監督によると、金田さんとは古くからの知り合いであり、ある日「映画に出たい」と直接申し出があったそうです。監督は最初冗談かと思ったものの、本人の熱意と強烈なキャラクターを見て、「これは張役に合う」と確信したとのことです。
実際に映画に出演した際、セリフの覚え方やカメラの前での立ち居振る舞いなど、まったくの未経験だったにもかかわらず、その「本物感」や「圧倒的な存在感」は、他のプロの俳優をも凌駕すると話題になりました。
また、北野監督は彼について、「あの人の後ろに10人立たせたら、本物の組の幹部に見える」とも評しています。
つまり出演のきっかけは、北野武監督との親交+金田さん本人の希望+監督の直感的なキャスティング判断という、非常にユニークな経緯から実現したものでした。
北野監督の評価は?
『アウトレイジ ビヨンド』での金田時男さんの演技に対して、北野武監督は非常に高く評価しています。
特に印象的なのは、北野監督が語った以下のようなコメントです。「新人賞をあげたいくらいだよ(笑)」。
また、別のインタビューや記事では、金田さんの出演について次のような趣旨の発言もしています。「本当に“本物”みたいな雰囲気があった。だから張という大物にピッタリだった」、「芝居じゃなくて“存在している”感じがよかった」、「ああいう人が裏社会にいるって、観客にリアリティを与える」。
なぜ高評価だったのでしょうか?これは、本職の俳優ではないにもかかわらず、圧倒的な存在感を放ったからに違いありません。実業家としての人生経験が、裏社会のフィクサー役に現実味と説得力を与えた。派手な芝居をしない「静かな威圧感」が、北野映画の演出と完璧にマッチしました。
金田時男さんの演技はまさに「演じるというより“そこにいる”」というタイプのリアリズムであり、北野監督にとって理想的なキャスティングだったと言えます。
「アウトレイジ 最終章」では?
出演は続編の「アウトレイジ 最終章」でも続きました。前作より、セリフも増えて「役者」となりました。北野作品の中でも強烈な印象を残すキャラクターのひとりとなりました。
北野監督の評価は?
『アウトレイジ 最終章』(2017年)での金田時男さんの演技に対し、北野武監督は非常に高く評価しています。金田さんは前作『アウトレイジ ビヨンド』に続き、韓国系組織のフィクサー・張大成(チャン・テソン)を演じ、今作ではセリフも増え、より重要な役割を担いました。
金田さんの演技は、プロの俳優に引けを取らない貫禄と存在感で、観客や評論家からも高く評価されました。
北野監督は、金田さんの演技について「本当に“本物”みたいな雰囲気があった。だから張という大物にピッタリだった」と述べており、彼の存在感が作品にリアリティと説得力をもたらしたと評価しています。
金田時男さんの出演は、俳優経験がないにもかかわらず、作品に強烈な印象を残しました。彼の実業家としての経験や人脈が、役柄にリアリティと説得力をもたらしたと考えられます。
北野監督の評価は高いようですが、映画賞は?
金田時男さんは映画『アウトレイジ 最終章』(2017年)での演技により、第27回東京スポーツ映画大賞において、新人賞および助演男優賞を受賞しました。
本業が実業家でありながら、しかも80歳での俳優デビューとなった金田さんの演技は、観客や評論家から高く評価されました。
特に、韓国系組織のフィクサー・張大成(チャン・テソン)役としての圧倒的な存在感が話題となり、北野武監督も「とにかくね、圧倒的にスゴイんだよ」と絶賛しています。
また、金田さんは韓国映画や韓国とアメリカの合作映画からの出演オファーも受けていましたが、「これ(アウトレイジ)だけで私はもうホントに…。監督に、ド素人でこういう機会を作ってくださったことだけは忘れちゃいけないと思っています」と語り、すべて断ったことを明かしています。
このように、金田時男さんは俳優経験がないにもかかわらず、その演技力と存在感で映画界に鮮烈な印象を残し、特別な評価を受けました。
北野監督の作品には出演する意志があると語っておられますので、また、あの威圧感、存在感のある演技を見たいものです。