バクテーを知っていますか?マレーシアでは結構定番料理です。街角のカフェでよく食べられています。 豚のバラ肉を、陶器製のポットでスパイスで煮込んだ料理です。非常においしいです。
マレーシアはイスラム教の国です。ご存じのようにイスラム教では豚肉は食べません。バクテーはマレーシアでは中華系の人が食べる料理です。民族が違うとはいえ、何故、イスラム教のマレーシアでバクテーが食べられるようになったのでしょうか?
Contents
バクテーについて
・ バクテー(肉骨茶)(Bak Kut Teh)とは?
名前の意味:
「肉(Bak)」= 肉(主に豚)
「骨(Kut)」= 骨付き
「茶(Teh)」= お茶(実際はお茶味ではない)
つまり「骨付き肉のお茶スープ」という名前ですが、実際は 漢方風のスパイスで煮込んだ豚肉のスープ料理 です。
・ 特徴・味
スープ : 漢方・中薬系の香辛料(八角、シナモン、クローブ、にんにく、胡椒など)でじっくり煮込んだもの
肉 : 豚のスペアリブがメイン。トロトロに柔らかい!
具材 : 豆腐、きのこ、油揚げ(油條)、ニンニク、ご飯 or 麺と一緒に食べる
付け合わせ : ピリ辛のチリソースや刻みニンニク&ダークソイソースで味変も
マレーシアでのバクテーの種類
マレーシアでは地域ごとにちょっとずつスタイルが違います。
- クラン式(Klang-style) ← 本場です!!
発祥地:セランゴール州のクラン(Klang)
特徴:スープが濃い&黒い&しっかり味
スープに「ダークソイソース」がたっぷりでちょっと甘みあり地元の人には圧倒的人気です。 - 潮州式(Teochew-style)
特徴:スープが透明であっさりめ
白胡椒が強めに効いてピリッとしてる
中華系の朝ごはんとしてもよく食べられています。 - ドライ・バクテー(Dry Bak Kut Teh)
スープがない or 少量の濃いタレで炒め煮
よりパンチのある味、唐辛子や干しエビの旨みが効いています。
ご飯とあいます。
食べ方の流れ(地元流)
白ご飯+バクテー+油條(揚げパン)
お好みでスープに油條を浸して食べる(サクふわ感が◎)
チリソースや醤油ダレで味変
お茶(烏龍茶とか鉄観音)を一緒に飲んで「脂っこさをリセット」
どこで食べられる?
本場クラン(Klang):老舗名店が集結。朝から行列も珍しくない。
クアラルンプール:チェーン店やフードコートでも気軽に食べられる
例:『Restoran Bak Kut Teh Yap Chuan』や『Sun Fong Bak Kut Teh』など有名です。
おうちでも食べられる?
インスタントスパイスの素(「A1」「Tean’s Gourmet」など)がアジア食材店に売ってる!
お肉と一緒に煮込むだけで、かなり本格的に再現できます。
何故イスラム教の国マレーシアで豚肉料理にも関わらず
人気となったのか?
マレーシアはイスラム教徒(マレー系住民)が多数派の国で、イスラム教では豚肉は禁忌(ハラーム)とされています。
なのに「バクテー=豚肉料理」が名物料理の一つとして成立しているのは、実はマレーシアの多民族・多文化社会の背景が
大きく関わっているんです。
バクテー誕生の背景
発祥は中国系移民(華人)
バクテーはもともと中国・福建省や潮州地方からマレーシアにやってきた「中国系移民(華人)」が伝えた料理です。
19世紀〜20世紀初頭、労働者としてマレーシア(当時は英領マラヤ)に来た中国人が、栄養補給や安くてお腹にたまる料理
として骨付き豚肉を漢方スープで煮込んで作り始めたのがルーツ。
特に「クラン(Klang)」で発展
港町クランは中国系労働者が多く、バクテーが朝食として広まりました。
肉体労働者の「元気が出る朝ごはん」みたいなポジションとなっています。
イスラム教とどう共存しているの?
マレーシアは多民族国家なので、宗教・文化によって食文化も分かれているのが特徴です:
マレーシアの民族構成(ざっくり):
マレー系(約60%):イスラム教徒(豚肉NG)
中華系(約25%):仏教・道教・キリスト教など(豚肉OK)
インド系(約7%):ヒンドゥー教・イスラム教・キリスト教など
つまり:バクテーは主に中華系の文化圏で食べられる料理です。
イスラム教徒のマレー人は基本的に食べません。
レストランも、「Non-Halal(ハラルじゃない)」と明記してある店で提供されます。
しかし、バクテーの人気に伴って、最近は「ハラル・バクテー」も登場しています。
観光客やマレー系の人も楽しめるように、「豚肉を使わないバクテー(チキンや牛肉)」も一部で作られるようになってます。
これを「チキン・バクテー」「ハラル・バクテー」と呼んだりします。
ただし、中華系からすると「これはバクテーじゃない!」なんて意見もあったりします。
以上よりまとめると:
バクテーは中国系移民が持ち込んだ豚肉料理。
マレーシアでは中華系の食文化として根付いており、イスラム教徒は食べない。
多民族・多文化社会だからこそ、宗教ごとに食の境界が守られながら共存している。
もし現地で「バクテー食べたい」と思ったら、中華系のエリアや「Non-Halal」と表示されたお店を探すのが基本です!
クチン(Kuching)でバクテー
クチン(Kuching)でもバクテーは食べられます。ただし、いくつかのポイントを押さえておくと、よりスムーズに楽しめます。
クチンでのバクテー事情
クチンの食文化の特徴: クチンはサラワク州の州都で、マレー系・中華系・先住民族(イバン族など)が共存する多文化都市です。
中華系の人口は比較的多いため、中華料理全般がよく食べられており、バクテーもその一つとして存在しています。
クチンで食べられるバクテーのスタイル
潮州系(Teochew)スタイルが多い印象です。比較的あっさりした透明系スープが多いです。また、白胡椒の効いたものもあり
「ドライ・バクテー(Dry Bak Kut Teh)」を出すお店もあります。
クラン式(濃いスープ)はやや少なめだけど、探せばあります。
どこで食べられる?
クチンでバクテーを食べたいなら、次のような場所を狙ってみてください:
中華系のコピティアム(Kopitiam)
「Kuching Bak Kut Teh」などでGoogle検索すると出てきます。早朝〜昼営業の店も多い。
おすすめキーワードで検索:「Bak Kut Teh Kuching」
「Non-Halal Restaurant Kuching」
「Teochew Bak Kut Teh」
「Dry Bak Kut Teh」
人気店(例)※変わる可能性あるので、行く前にGoogleマップやレビュー確認がオススメです。
Big Mouth Bak Kut Teh
味が安定してる、ローカルにも観光客にも人気
Hock Hai Bak Kut Teh
コピティアムスタイル、朝食向け
Old Rex Cucur Udang(複合フードコートの中にバクテー屋台があることも)
注意点
イスラム教徒向けの飲食店ではバクテーは出ていないので、お店が「Non-Halal」であるか確認してください。
朝〜昼の営業が多いので、ディナーで狙う場合は営業時間チェックが必要です。
現地のおすすめの流れ:
朝か昼に「Bak Kut Teh」で検索 → 中華系の店に行く
白ご飯・油條(揚げパン)と一緒にバクテーを注文
チリ+醤油+にんにくのタレで味変しながら楽しむ!
クチンのローカルグルメと組み合わせて、「ラクサ+バクテー」なんて贅沢もできます。