Suchmos ― 再始動のグルーヴ、未来へ鳴り響くサウンド

 2010年代の日本音楽シーンに突如として現れ、都会的で洗練されたサウンドとグルーヴ感で瞬く間に支持を集めたバンドがSuchmos(サチモス)である。ジャズ、ソウル、ファンク、ヒップホップなどを自在に取り込みながら、J-POPやロックの枠を超えるスタイルを確立した彼らは、2016年の「STAY TUNE」で全国的ブレイクを果たし、その後は大型フェスやスタジアム公演まで駆け上がった。しかし、2021年にベーシストHSUの死去という大きな悲しみを経験し、バンドは活動を休止。その後、音楽ファンの間では「いつかまた、彼らの音楽を生で体感したい」という声が絶えなかった。

 そして2025年、Suchmosは5年8か月ぶりに活動を再開。6月21日・22日に横浜アリーナで行われた復活ライブ「The Blow Your Mind 2025」には約2万5千人の観客が集まり、再始動を祝福した。バンドは新たなフェーズへと進み、再び日本の音楽シーンの中心へと歩みを進めようとしている。以下では、彼らの歩みと音楽的特徴、そして再始動後の展望について詳しく紹介していく。

◆ バンド結成とメンバー構成

 Suchmosは2013年に神奈川県で結成された。バンド名は、ジャズ界の巨匠ルイ・アームストロングの愛称「サッチモ(Satchmo)」に由来しており、ブラックミュージックをルーツに持つ彼らの志向性を象徴している。

 結成時からのメンバーは以下の通りである。

YONCE(ボーカル/河西洋介)
セクシーでソウルフルな歌声がバンドの中心。唯一無二の存在感を放つフロントマン。

TAIKING(ギター/大原魁生)
繊細かつダイナミックなギターを奏で、アレンジ面でも重要な役割を担う。

OK(ドラムス)
ヒップホップやジャズを取り入れた独自のドラミングで、グルーヴの核を支える。

KCEE(DJ/櫻打泰平)
サンプリングやスクラッチでストリート感を演出。バンドのビートメイクを拡張する。

TAIHEI(キーボード/河西太一)
ジャズ的コード感やエレクトロニクスを取り入れ、都会的な音像を描く。

 そして、初期から活動を共にしてきたベーシストHSU(小杉隼太)が、低音でグルーヴを支え、Suchmosサウンドを完成させた。しかし2021年、HSUは急逝。バンドにとって最大の喪失となり、活動休止に入るきっかけとなった。

◆ ブレイクの軌跡

 Suchmosの名前を一躍広めたのは、2016年のシングル「STAY TUNE」である。Honda「VEZEL」のCMソングに起用され、軽快かつスタイリッシュなリズムが全国に響いた。続く「MINT」「YMM」なども支持を集め、都市的ライフスタイルとシンクロするサウンドで若者を中心にカリスマ的な人気を獲得した。

 2018年にはNHK「FIFAワールドカップ」公式テーマ曲に「VOLT-AGE」が起用され、国民的知名度を得る。同年、アリーナ公演を成功させ、2019年には横浜スタジアムでワンマンライブを実現。インディーズ発のバンドとしては異例のスピードでスターダムを駆け上がった。

◆ 活動休止と喪失

 しかし、華々しい活躍の裏でメンバーは心身ともに大きな負担を抱えていた。2021年10月、ベーシストHSUが急逝。この出来事はSuchmosに深い悲しみをもたらし、同時に音楽活動を続けることの意味を根本から問い直す契機となった。バンドは活動休止を選択し、それ以降は音沙汰がなく、ファンの間でも「解散なのか」「再始動の可能性はあるのか」と議論が続いた。

◆ 2025年 ― 再始動

 長い沈黙を破り、2024年秋に「2025年6月、横浜アリーナでライブ開催」というニュースが発表されると、音楽シーンは大きく揺れた。そして迎えた6月21日・22日、「The Blow Your Mind 2025」と題された2日間の公演で、Suchmosは帰還を高らかに宣言した。

 ライブには新たに山本連がサポートベーシストとして参加。バークリー音楽大学で培った確かな技術と表現力で、HSUの魂を継ぐように低音を響かせた。正式加入は明言されていないが、ステージ上での存在感は大きく、Suchmosのグルーヴが確かに蘇っていた。

 演奏されたのは「STAY TUNE」「YMM」といった代表曲はもちろん、新たなアレンジを加えたバージョンや未発表曲も披露され、観客は再生したバンドの息吹を体感。休止前とは異なる「成熟」と「決意」が音に表れており、Suchmosが過去を超えて未来へ向かう姿勢を強く印象づけた。

◆ 音楽的特徴と魅力

 Suchmosの音楽は、ジャンルの壁を軽やかに飛び越える点にある。ジャズ的なコード進行、ファンクのリズム、ヒップホップ的なビート感、ロックのダイナミズムを一つの楽曲に融合させ、都会的で洗練された「現代のポップミュージック」を作り上げている。

 ボーカルYONCEの声は、甘さと渋みを兼ね備え、聴く者を包み込むようだ。リズム隊の緻密なグルーヴは聴衆を自然と揺らし、キーボードとギターが彩る音のレイヤーは夜の都市風景を彷彿とさせる。音源だけでなく、ライブでの即興性やジャム的展開もSuchmosの魅力であり、観客との「その瞬間限りの共鳴」を大切にしている。

◆ 再始動後への期待

 2025年の再始動は、Suchmosにとって「復活」ではなく「新章の幕開け」である。活動休止を経て、メンバー一人ひとりが成長を遂げたことは明らかであり、その音はより深みを増している。ファンが特に期待するのは、やはり新しい楽曲やアルバムの制作だろう。過去のヒット曲を超える新たなアンセムを世に放つことで、Suchmosは再び日本の音楽シーンをリードする存在となりうる。

 また、横浜アリーナでの成功を皮切りに、今後は全国ツアーや海外公演の可能性も大いに考えられる。彼らのサウンドはグローバルな音楽潮流と親和性が高く、アジアをはじめとする海外リスナーにとっても魅力的である。

 HSUというかけがえのない存在を失った痛みを抱えながらも、その音楽の魂を受け継ぎ、新たな未来を切り拓こうとするSuchmos。その姿勢そのものが、ファンやリスナーに大きな感動と希望を与えている。

 2025年5月28日、Suchmosは再始動を象徴する新曲 「Whole of Flower」 を先行デジタル配信しました。軽やかでスタイリッシュなメロディとともに、バンドの新たな章を感じさせる楽曲です。
 2025年7月2日、Suchmosは 4曲入りのEP『Sunburst』 をリリースしました。収録曲は以下の通りです。
1 Eye to Eye
2 Marry
3 Whole of Flower
4 BOY

◆ まとめ

 Suchmosは、単なるロックバンドやポップバンドではなく、時代を象徴する「音楽のクロスオーバー」の体現者である。結成から10年以上の歳月を経て、苦難を乗り越え、2025年に再始動を果たした今、彼らは再びシーンの最前線に立ち、未来の音楽を鳴らし続けるだろう。

 「STAY TUNE」で始まった物語は、決して終わっていない。むしろ2025年からのSuchmosこそが、本当の意味での「第二章」である。ファンは新たなサウンドに胸を高鳴らせ、次のアルバム、次のライブを待ち望んでいる。Suchmosが創り出す音楽の旅路は、これからさらに広がり、深まっていくに違いない。

公式ウェブサイト:suchmos.com

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